【コラム】これを見ればすぐ分かる。決算書から見る任天堂の収益事情【任天堂】

コラム

『決算』

それは企業の1年間の収益と費用をまとめ上げ、「決算書」として確定させること。決算書を見れば、その企業が儲かっているのか、調子が良いのか悪いのか一目瞭然なのである。

 

先日8月3日、ゲームメーカー最大手の「任天堂」が「2023年3月期第1四半期決算」を発表した。普段決算書を見る機会なんてほとんどないだろうし、見てもよく分からないという人も多いだろう。
だが、ゲームといえば任天堂といわれるくらい、世界に誇る一大企業の景気を知っておいても損はないはずである。

 

というわけで本日のテーマは、
「決算書から分かる 任天堂って儲かってるの?」
です。
「決算書」を分かりやすく解説していこうと思うので、ぜひご覧いただきたい。

 

 

まずは「連結売上高」から見ていこう。連結売上とはグループ全体の売上を指す。つまり任天堂に関する会社がどのくらい物を売ったかという事だ。

これを見ると昨年と比較して「-4.7%」下がっていることが分かる。
これはコロナの影響で世界的に半導体不足となり、ゲーム機本体の販売台数が減少したことが要因だ。「有機ELモデル」などの販売はあったが、それらをカバーできるほどではなく、売上という点では少し下降気味であると言える。

 

 

一方、「経常利益」の数字を見てほしいのだが、昨年と比較して「29.6%」増加している。
経常利益とは、企業が通常行っている業務の中で得た利益のことを指し、原価や人件費、開発費、広告費など、販売するに必要な費用をすべて差し引いた利益を指す。つまり経常利益を見れば、会社が儲かっているかが分かるのだ。

これは円安によって為替差益が発生したことにより、売上の利益が上がったことが要因だ。円安になると、海外に販売した時の利益が通常より増えるので、その分利益が増えたということになる。

 

結論としては、
「半導体不足による販売台数の低下により売上額は下がったが、円安によって利益は増えた」
というのが任天堂の今期の状況である。

 

「なんだ、結構儲かってるじゃん」と思いたいところだが、そう楽観視もできない。為替変動による利益はあくまで一時的なものであり、しっかりと売上を上げていくことが重要だからだ。

 

 

 

ではここからは、売上に直結するゲームやソフトの販売に関するデータを見て行こう。

 

これは任天堂の主力コンテンツ「Nintendo Switchの販売状況(セルイン)」だ。「セルイン」とはゲーム会社から代理店や小売店に出荷した数の事。よく『○○本売上達成!』という数字はこのセルインを指している。

これを見ると、Nintendo Switchの販売台数が「-22.9%」と大きく下がっていることが分かる。
Switchが発売して5年以上経過し、「Switch Lite」や「有機ELタイプ」などモデルチェンジは販売されているが、それでも徐々に勢いが落ちていることは否めない。

一方ソフトウェアに関しては、昨年と比較して「-8.6%」と微減となった
「Nintendo Switch Sports」や「星のカービィ ディスカバリー」とミリオンセラータイトルが4本出たが、新規のキラーコンテンツの数が少なく前年と同水準までとは至らなかった。

やはり新たなタイトルのリリースが求められるといったところか。

 

 

ここで『星のカービィ ディスカバリー』に注目したい。『星のカービィ ディスカバリー』がシリーズ最大の「セルスルー」を記録したとのこと。
セルスルーとは小売店から消費者に販売された数の事。つまり実際にゲームがユーザーの手元に来た数を表している。

『星のカービィ ディスカバリー』は発売から15週間で、全世界累計セルスルーが400万本突破し、30周年を迎えた星のカービィにとってとても良いニュースとなった。今回の話題性も相まって、今後も売上本数が伸びていくことだろう。

 

 

一方で「デジタル売上高(ダウンロードソフトや、追加コンテンツ、Nintendo Switch Onlineなど)」は+16.0%と好調
ミリオンセラーとなった『Nintendo Switch Sports』や『マリオストライカーズ バトルリーグ』など、パッケージ併売ダウンロードソフトの販売が好調だったほか、『あつまれ どうぶつの森 ハッピーホームパラダイス』といった追加コンテンツもあり上向きとなった。「Nintendo Switch Online + 追加パック」がリリースされた点も大きい。

 

 

ここまでを見ると、任天堂が更なる売上・収益を上げるためには、「新たなハードの販売」、そして「キラーコンテンツの販売」が必要だということがお分かりいただけただろうか。

つい先日「ゼノブレイド3」が発売されたり、9月に大人気シリーズ「スプラトゥーン3」が発売予定、更にはポケモンシリーズ最新作、「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」も11月に発売されるため、ソフトウェアを中心に今年はかなり任天堂がゲーム業界を盛り上げていくだろう。

 

しかし、やはりこの辺りで次世代ゲーム機の販売には期待したいところだ。

PS5の台道やsteam deckの販売、当然ソシャゲ業界も更に盛り上がっていく中、ゲーム業界第一人者である「任天堂」には、この辺りで大きな花火を打ち上げて業界を更に盛り上げ欲しいと、いちゲーマーとして願っている。

 

参考:任天堂2023年3月期第1四半期決算資料

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