【遊戯王OCG】「マルチャミー・フワロス」の価格が高騰している件を解説

遊戯王OCG

2024年7月27日発売の新パック「RAGE OF THE ABYSS(レイジ・オブ・ジ・アビス)」に収録された新たな手札誘発カード「マルチャミー・フワロス」の価値がここに来て急激に上がっている。シングルの販売価格も日に日に上がっており、発売当初は1枚500円程度だったのが、現在は800円近くまで上がっている。なぜこのような事態になっているのか、カードの効果なども踏まえて解説していく。

 

「マルチャミー・フワロス」について

効果モンスター
星4/風属性/鳥獣族/攻 100/守 600
このカードの効果を発動するターン、自分はこのカード以外の「マルチャミー」モンスターの効果を1度しか発動できない。
①:自分・相手ターンに、自分フィールドにカードが存在しない場合、このカードを手札から捨てて発動できる。このターン中、以下の効果を適用する。
●相手がデッキ・EXデッキからモンスターを特殊召喚する度に、自分は1枚ドローする。
●エンドフェイズに、自分の手札が相手フィールドのカードの数+6枚より多い場合、その差の数だけ自分の手札をランダムにデッキに戻す。

相手がデッキ・EXデッキからモンスターを特殊召喚する度にカードを1枚ドローする効果を持つ。発表当時は最強の手札誘発カード「増殖するG」の下位互換にしか見られてなかったが、ここ最近はその価値が上がっており、サイドデッキはおろかメインデッキに積まれているケースが多い。なぜそのようなことになっているのか、「増殖するG」と比較した時の強み・弱みも踏まえて解説していく。

 

参考:増殖するG

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分・相手ターンに、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。このターン中、以下の効果を適用する。
●相手がモンスターを特殊召喚する度に、自分は1枚ドローする。

 

「マルチャミー・フワロス」の強み

「増殖するG」と比較した時の「フワロス」の強みについては以下の内容が考えられる。

①1ターンに複数枚発動できる
②手札から捨てて発動できる

③抹殺の指名者を躱しやすい

①マルチャミーカードは1ターンに2回まで発動できるため、手札に「フワロス」が2枚あった場合、両方効果が通れば1度に2枚ずつカードがドローできる。「増殖するG」は1ターンに1度までしか発動が出来ないため、2枚手札に来てしまった場合は1枚が腐ってしまう。また1枚目の発動に対して相手が「墓穴の指名者」を打たれたとしても、2枚目を発動することで効果を通すことが出来る。強みとは若干ずれるが「フワロス」に無効効果を打たせることで、本命の「増殖するG」を打つといったプレイングも狙える。

②「フワロス」は「手札から捨てて効果を発動」するため、ディメンション・アトラクター」効果下でも問題無く発動が出来る。「増殖するG」は「手札から墓地へ送って発動」するため、「アトラクター」を打ってしまうと発動が出来なくなる。現環境において「スネークアイ」や「ユベル」は墓地利用を多用するテーマのため、対抗札として「アトラクター」を採用しているデッキも多い。「アトラクター」で妨害しつつ「フワロス」を重ねることが可能だ。

③現在は「フワロス」を採用するデッキが少ないため抹殺の指名者」を躱すことが出来る。「抹殺の指名者」は後攻の妨害から展開を防ぐ最強の防御札ではあるが、「増殖するG」がほぼ全てのデッキに採用されるに対して、「フワロス」は実装からまだ日が浅いため、「抹殺の指名者」で妨害されにくい。とは言え、メインデッキからの採用が増えてきているため、ここに関しては徐々に対策されていく事だろう。

 

「マルチャミー・フワロス」の弱み

「増殖するG」と比較した時のフワロスの強みについては以下の内容が考えられる。

①先行で腐る
②デッキ・EXデッキからの特殊召喚以外は対象外

③手札が多すぎた場合ランダムにデッキに戻す

①「マルチャミー」カードは「自分フィールドにカードが存在しない場合」でないと発動出来ないため、基本的に先行ではほぼ効果が使えないと思ってよい。そのため後攻専用カードとなり先行では腐ってしまう。その場合は手札コストに使うなど、コスト用と割り切ってしまおう。

②「フワロス」はデッキ・EXデッキからの特殊召喚は対象ではないため、手札・墓地・除外からの特殊召喚ではドローできない。とは言え現代遊戯王において特定のテーマを除き、デッキからの特殊召喚やEXデッキを使わないテーマは稀であり、最低限の仕事は出来ると考えていいだろう。

③ドローでたくさんカードを引いた場合、ランダムにデッキにカードを戻さなくてはならない。とは言え最低でも6枚まではカードをキープ出来るわけであり、その場合相手の場には何もないので勝利はかなり近づく。ランダムなので必要なカードが戻ってしまう可能性はあるが、相手からしたら手札がたくさんある事には変わらないため、ドローをさせないに越した事は無く、展開を抑止する事が出来る。

 

なぜメインデッキに採用されるのか

上で挙げた通り確かに効果は強力だが「先行では完全に腐ってしまう」「デッキ・EXデッキからの特殊召喚以外は対応していない」と、「増殖するG」の下位互換なのは否めなく、サイドデッキからの採用が良いような気がするが、なぜメインデッキに採用されるデッキが増えているのか。

それは、環境デッキに対して「増殖するG」や「マルチャミー・フワロス」しか有効な手札誘発が無いからだと考えられる。後攻プレイヤーが使えるメジャーな手札誘発と言えば「灰流うらら」や「無限泡影」などが挙げられるが、「うらら」は1ターンに1度しか使えず、「無限泡影」はモンスター効果しか無効に出来ない。そのため昨今の環境デッキにおいて、1度や2度の妨害カード程度では余裕で貫通されてしまい、展開を止める事が出来ない。そうなった場合「増殖するG」の大量ドローさえ警戒しておけばいいので、先行プレイヤーは「増殖するG」の無効に注力できる。後攻プレイヤーは「増殖するG」を止められた、または手札に「増殖するG」が無い場合、ただただ絶望するしかないのだ

つまり、先行に対して1~2枚程度の妨害カードだけでは展開を許してしまう現環境において、相手の展開を確実に止められるのであれば、「先行で腐る」というリスクなんて安いものという事だ。ましてや手札1枚から展開できるデッキが数多く存在するため、その1枚さえ通ってしまえばOKと考えると、手札誘発を積めるだけ積むという結論になる。

後は「フワロス」の採用が増えてきたことで、「抹殺の指名者」で弾くためにメインデッキに採用せざるを得ないという理由もありそうだ。

 

当初は「増殖するG」制限で「マルチャミー」が新たな手札誘発になるかと噂されていたが、現環境において「増殖するG」や「フワロス」の依存度は大きく、これからさらにその影響度は大きくなると思われる。

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