【遊戯王OCG】相性が良すぎたことでやらかした悲運なカード「The tyrant NEPTUNE」

遊戯王OCG

「遊戯王OCG」が発売されて25年。数々のカードが世に生み出されてきたが、中にはあまりにも強力過ぎる事で「禁止カード」となって消えてしまったカードが数多く存在する。今日はそんな「やらかしカード」にスポットを当てて、いったい何をやらかして「禁止カード」となってしまったのか、振り返ってみようと思う。

 

The tyrant NEPTUNE(ザ・タイラント・ネプチューン)

星10 水属性
爬虫類族/効果 ATK/ 0 DEF/ 0
このカードは特殊召喚できない。このカードはモンスター1体をリリースしてアドバンス召喚する事ができる。このカードの攻撃力・守備力は、アドバンス召喚時にリリースしたモンスターの元々の攻撃力・守備力をそれぞれ合計した数値分アップする。このカードがアドバンス召喚に成功した時、墓地に存在するリリースした効果モンスター1体を選択し、そのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る。

「The tyrant NEPTUNE(ザ・タイラント・ネプチューン)」は2009年Vジャンプ12月号で実施された応募者全員サービスパックに収録されたカードで、漫画GXの作中に登場した世界に1枚ずつのみ存在すると言われている「プラネットシリーズ」の1枚である。「プラネットシリーズ」はこのカード以外にも実装されており、太陽や太陽系の惑星をモチーフにしたカードとなっている。

特殊召喚できない制約とモンスター1体でアドバンス召喚出来る、効果外テキストを持っている。
このカードの効果は2つあり、アドバンス召喚した時にリリースしたモンスターの元々の攻撃力・守備力の合計を自身のステータスとする効果と、アドバンス召喚した時にリリースしたモンスター1体のカード名を効果をコピーする効果を持っている。
1つ目の効果で自身の攻撃力・守備力を上げることが出来るので、リリースしたモンスターの攻撃力が高ければかなりのスタータスになるが、1体でリリースした場合は種族・属性・レベルしか変わらないためほぼ意味がない。問題なのは2つ目のコピー効果である。

リリースしたモンスターのカード名および効果をコピーできるため、何も考えなければただ召喚権を使って同じ効果と名前を持ったモンスターを出すだけになるので、このカードを出す事のメリットを考えたい。例えば、素材となるモンスターの効果が「カード名指定ではないターン1効果」だった場合、このカードをアドバンス召喚する事で、再度効果を使えるようになったり、特殊召喚時に攻撃不可や効果無効のデメリットが発生した時も、このカードで制約をリセットするといった使い方も出来る。

 

という風にいろいろ変わった使い方が検討出来る面白そうな効果を持ったカードなのだが、とあるカードが登場したことで、「The tyrant NEPTUNE」の運命は大きく動く事になる。

 

「LL-インディペンデント・ナイチンゲール」である。

 

LL-インディペンデント・ナイチンゲール

星1 風属性
鳥獣族/融合/効果 ATK/1000 DEF/ 0
「LL-アセンブリー・ナイチンゲール」+「LL」モンスター
①:元々のカード名に「LL」を含むXモンスターを素材としてこのカードが融合召喚に成功した場合に発動できる。そのモンスターが持っていたX素材の数だけ、このカードのレベルを上げる。②:このカードの攻撃力はこのカードのレベル×500アップし、このカードは他のカードの効果を受けない。③:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。このカードのレベル×500ダメージを相手に与える。

2017年1月14日発売のパック「マキシマム・クライシス」に収録されたカードで、「LL(リリカル・リスキニア)」テーマに属する鳥獣族の融合モンスターだ。

このカードの効果は3つあり、
①の効果は融合素材にしたエクシーズ素材の数だけレベルを上げる効果。
②の効果は攻撃力をレベル×500アップする効果と他のカードの効果を受けない。
③の効果はカードのレベル×500バーンダメージを与える効果。

というものである。
「他のカードの効果を受けない」という遊戯王カードの中でも最上位の耐性を持つカードではあるが、スタータス自体は低い為、エクシーズ素材の数を増やすことでレベル・ステータスを上げて戦闘破壊されにくくし、③のバーンダメージを上げることを狙う。「他のカードの効果を受けない」効果によって、①の効果以外でレベルやステータスを上げる事が出来ないのが難点だ。

という風に非常に強力な効果を持ちつつその準備に手間がかかる事でバランスをとっていたカードではあるが、「The tyrant NEPTUNE」でリリースする事で、その厄介な準備を全てすっ飛ばすことが出来る。
つまり、
「レベル10、攻撃力6000、毎ターン相手に5000バーンダメージを与える、他カードの効果を一切受けない」という化け物モンスターが誕生する事になってしまうのだ。

 

「The tyrant NEPTUNE」と「LL-インディペンデント・ナイチンゲール」という無類の相性を誇る両カードであったが、これらのカードの危険性を重く見たKONAMIは、「The tyrant NEPTUNE」を2017年4月1日に禁止カードに指定した。しかし、よくよく見てみると「LL-インディペンデント・ナイチンゲール」が発売されたのが2017年1月14日であるため、わずか3カ月未満で「The tyrant NEPTUNE」が禁止になったという事になる。この流れを見るに、恐らく運営側も上記2枚のカードを使ったコンボを想定していなかった可能性があるが、定かではない。

 

今まで面白い効果ではあったもの、そこまで注目されていなかった「The tyrant NEPTUNE」は、ある日最高のパートナーを見つけてスターダムへの階段を昇り詰めるはずだった。しかし、あまりにも相性が良すぎたせいでとばっちりを食らってしまい以降日の目を見ることはなくなってしまった。とは言えこのカードに罪はない。あるとすれば、たまたま相性が良いパートナーが見つかってしまったという運の悪さだけなのだ。
確かに1万種類以上ある遊戯王カードにおいて、コピー能力はいつ想定外のコンボを生み出すか分からないこともあり、警戒されがちな能力ではあるものの、活躍する機会を永遠に失ってしまった「The tyrant NEPTUNE」には哀悼の意を捧げたい。

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