『お1人様』でも遊べるマダミスADVゲーム「マーダーミステリーパラドクス」をレビュー

ゲームレビュー

皆さんは「マダミス」というのをご存じだろうか。「マーダーミステリーゲーム」、通称「マダミス」とは、プレイヤーが物語の登場人物となり、様々な事件の真相を暴くトーク型推理ゲームである。TRPGにもよくあるジャンルの1つなので、聞いたことがある人も多いのではないだろうか。「マーダー」という名が付く以上、殺人事件が舞台となっており、プレイヤーは様々な証言や証拠を元に「誰が犯人か」を見つけるゲームとなっている。

TRPGで遊ぶ場合、複数人を集め、さらにゲームを進行するGM(ゲームマスター)が必要となるので、時間と手間がかかってしまうが、マダミスをお1人様(重要)でも気軽にデジタルゲームで遊べるようになったのが、今回紹介する「マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年」だ。

 

このゲームは2023年12月2日にSteamでリリース予定なのだが、今回無料体験版が配信されたので、プレイしたレビューを書いて行こうと思う。

ちなみに筆者はマダミスを1回しか遊んだことがなく、TRPGもそこまで回数をやったことがあるわけでないが、特に問題なくプレイ出来たので安心してほしい。

 

「マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年」は、十五歳の少年「天沢 樹」が養母の実家である「式根島」を訪れたところから物語は始まる。両親のいない樹は血の繋がらない従妹たちと初めて出会い、穏やかな島で楽しい時を過ごすはずだった。しかし「式根島の神隠し」という事件が過去あったこと、その事件に周りにいる人たちが深く関わっている事を知り、次第に島の怪事件に巻き込まれていく、といったストーリーだ。体験版ではストーリーの冒頭部分しか触れられないため、ここではどういったゲームシステムなのかと紹介したいと思う。

如何にも何かが起きそうな島

 

このゲームの目的は「様々な事件の犯人を見つけること」である。マーダーと付く以上今後殺人事件も起きると考えられるが、体験版では「スイカを食べた犯人は誰か」という事件の犯人を見つけるシナリオを体験できる。事件の内容は凄くライトなのに、真剣に犯人を探そうとする主人公達の姿は一見シュールであるが、チュートリアルという意味ではぴったりだろう。

ホラーかな?

 

真剣にスイカを食べた犯人を捜す主人公

 

このゲームは3つのフェーズから成り立っている。

  • 「調査フェーズ」
  • 「全体議論フェーズ」
  • 「投票フェーズ」

 

まずは「調査フェーズ」から。ここでは容疑者、つまりスイカをつまみ食いしたと思われる人から話を聞くところから始まる。プレイヤーは容疑者に対して、意見や疑問の話を聞いて「手がかり」を入手する。

一人一人、別室に呼び出して話を聞く主人公。尋問?

 

次にその「手がかり」を元に「質問」を行う。例えば容疑者の一人、妹の歌葉が「特定の時間に台所を出た」と証言すると、それが「手がかり」としてストックされる。その「手がかり」を元に他の人に質問すると「その時間には歌葉は台所にいなかった」といった、新たな「手がかり」が生まれてくるのだ。さらにその手がかりを元に新たに「質問」を行うことが出来る。

「手がかり」を元に、新たな「手がかり」を生み出す。

 

手がかりは時系列順に並べることも出来るので、状況を把握しやすい。

 

手がかりを集めていると、容疑者は「疑問」を持つことがある。例えば妹の歌葉は「自分の後に誰かが台所に出入りしたはずだ」と主張(=疑問)しているが、当然一人が主張しただけでは嘘をついている可能性もあるので、信ぴょう性はない。しかし、他の人から「歌葉の後に台所に行った人がいる」という手がかりを手に入れることが出来れば、その手がかりを元に、疑問を解決する(推理する)ことが出来る。

導き出した推理が正しい、つまり手がかりが正しければ、疑問を持った容疑者の信用度を上げることが出来、さらに新しい手がかりも入手出来る。こうして複数の手がかりを見つけ、事件の真相を暴いていくのが、ゲームの進め方だ。

正しい手がかりを選ばないと相手を説得できないので注意

 

「質問をする」や「推理をする」といった行動には全て時間がかかり、持ち時間から徐々にマイナスされていく。持ち時間がゼロになる前に真相を暴かないといけないため、効率よく行動する必要があるのだ。

180分も推理に時間掛けたら、目の前のスイカかぴかぴになりそう。

 

「調査フェーズ」がすべて終わると、次に「全体議論フェーズ」となる。これは今までの手がかりや証言を元に、容疑者がそれぞれ今思っている事を議論するフェーズに入る。「○○が犯人だと思う」と証言したり「自分は犯人ではない」と主張してくるのだ。これらの議論に対して、主人公(プレイヤー)は手がかりを持って同調や反論する事が出来る。この主人公の意見が正しいか正しくないかで容疑者の印象が変わっていくため、間違った犯人を吊るし上げてしまう可能性もあるので要注意だ。

順番に各々が思っていることを発言していく。

 

ちなみに先ほどの「調査フェーズ」で容疑者の信用度があがると書いたが、主人公も容疑者の一人であるため、信用度が低すぎると周りから犯人扱いされる可能性がある。

一方で、ちゃんとした手がかりをもってその人の意見に同調してあげると、信用度を大幅に上げることが出来る

逆に笑顔が怖い。

 

そして最後は「投票フェーズ」だ。今までの手がかりや推理を元に、誰が犯人なのかプレイヤーも含め、一人一票ずつ投票していく。そして一番投票数の多かった容疑者が犯人となるのだ。この犯人が正しい犯人だった場合は、ゲームクリアとなり次のシナリオに進んで行くのだが、もし間違った犯人を吊るし上げてしまった場合、BADENDとなりゲーム終了となる。その場合は、特定のフェーズまで巻き戻って推理をやり直すことが出来る。

事件の内容に反して重々しい雰囲気

 

犯人を見つけてもハッピーエンドにはなる。しこりが出来そうな気もするが。

 

 

体験版をプレイしてみての感想だが、いわゆる推理もののゲームであるので、推理要素はかなり力を入れている。体験版では2つのシナリオをプレイ出来るのだが、1つ目の「スイカつまみ食い」事件はチュートリアル要素が強いのでそこまで難しくないのだが、2つ目は難易度が上がってやりごたえもある。

推理もののゲームというと「逆転裁判」を思い出すが、あちらは犯人に対して矛盾を突きつけるのに対して、「誰が犯人か最後まで分からない」かつ「自分自身も容疑者のひとり」といったマダミス要素をしっかり抑えているのは中々に面白い。推理だけではなく、周りの信用度もしっかり上げないとならないからだ。

例えば「Aさんが現場から立ち去るのを見た」という手がかりがあった場合、Aさんにその手がかりについて質問すると「自分の事を疑っているのか?」と言って主人公の信用度が下がる(まぁ疑っているわけなんだが)。ただ信用度を下げないと手に入らない手がかりもあったりするので、誰に的確な質問をするかを考えるのも面白い要素だ。

基本的に主人公の信用度は最下層からスタート。よそ者だから世間の目は厳しい。

 

加えてストーリーもかなりサスペンスよりなシナリオになっているため、体験版でありながらかなり先が気になる展開になったのもポイントが高い。恐らく本編ではかなり重厚なストーリーが展開されると思うので期待したい。

というわけで「マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年」を紹介させてもらった。マダミスをデジタルゲームにした本作だが、単純に「推理サスペンスアドベンチャーゲーム」としてプレイしても十分面白そうだと思うので、この手のゲームが好きな人はぜひ遊んで見てほしい。とりあえず気になった人は体験版をプレイする事をおススメする。

 

↓STEAMページ↓

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"Murder Mystery Paradox: Fifteen Years of Summer" is a text-based adventure game. Enter the remote and sparsely populate...
商品名:マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年
発売日: 2023年12月2日
対応ハード:Steam
価格:2,200円(税込)
ジャンル:マーダーミステリーADV

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